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セリフ劇【暗恋桃花源】―見れば見るほど味?


観劇が趣味なのですが、おこちゃまが小さいためなかなか見に行けないわ~と漏らしたところ、家庭教師の先生が、それならと脚本を持ってきてくれることに。
主に中国の経典的セリフ劇の論評・感想を中心にたまにコツコツアップしていきたいと思います。


ちなみに先生曰く「中国の有名な舞台はみんな映像がネットにアップされてるわよ」。
さっそく調べてみたら、いろいろ出てきました。なるべく脚本→映像という形で見ていきます!


     ■    ■    ■

さて、第一回目は、1986年の初演から何度も中国だけでなく世界各地で再演されているという【暗恋桃花源】。台湾のお芝居です。

頼聲川作、演出。(現台湾芸術大学教授でもあり、台湾演劇界きっての大スターらしい)

この作品は広州にいたときも巡業に来ていて興味があったものの一つ。2006年から中国60か所で公演し、観客動員数は12万人を超えており、ニューヨークタイムスでは「中国でもっとも人気のある演目」と評されたそうです。なるほど中国現代セリフ劇の経典の一つですね。


あらすじ

悲劇「暗恋」のリハーサルを行う劇団と、喜劇「桃花源」のリハーサルを行う劇団が、なにかの手違いで同じ日に同じ劇場でバッティング。劇中劇の形をとって、二つの劇団のリハーサルが交互に、あるいは同時に舞台に現れ、混乱を極めていく。しかし混乱の中にも奇妙な秩序が見え始め…。


出演:表演工作坊



以下少々ネタばれアリ

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何の情報もないままこの芝居をみていたら、ちょっと見終わった後に肩透かしのような感覚に陥ったかもしれません。やはり、日本のドラマツルギーに慣れているせいなのでしょう。これだけ全編を通して爆笑の連続であり、商業的な目配りもできているのに、面白くなってきたというところで、あれ?クライマックスはどこいっちゃったの?という突然の幕切れ。

そうなるとがぜんテーマがつかめなくなってしまい、ほとほと路頭に迷ってしまうという感じなのです。


百度百科を読み、この作品が1985年の台湾で作られ、当時の台湾国内の混乱ぶりを反映していると知り、やっと納得がいきました。また、作品の着想自体が劇作家(演出家)の台湾演劇界における劇場使用にあたっての混乱ぶりから得られたという点からも少し理解が深まるように思います。

がしかし、それでも20年にわたり経典として輝き続けているといわれると、それほどの作品だろうかという思いがしてしまうのです。どんな古典でも商業演劇でも長く愛されている作品は、その作品の核となるテーマを一言で表せると思うのですが、この作品にはそれがない。あえて挙げるとすれば「混乱」。でも、混乱って現象的なことで、普遍的なテーマにはならないような気がしてしまう。完全な娯楽喜劇として状況の混乱を楽しむならありなんですが。だから、台湾の特殊性を説明されると納得はいくけれど、そこから思いが広がっていかない。それが経典?と思ってしまう所以。


もちろん、喜劇と悲劇というまったく性質のことなる二つの芝居を一つの舞台で見せてしまおうという試みのアイデア自体は当時としては斬新だったのかなあと思います。が、じゃあなぜ、この「暗恋」と「桃花源」の二つの話だったのかがやっぱり分からない。あえて二つの作品を乗せるなら、最後の30分であ~あ、そうだったのか!と思う仕掛けをもう一つ作ってほしいと思うのは、日本的観劇態度なのでしょうか。戯曲というのは、小説などよりずっと組み立てが効くはずで、作品の大前提として組み立てにこだわっておきながら、複線づくりとか急展開とかそういう細かい組み立てはなしかよ!!みたいな。かといって、あえて淡泊にまとめて芸術的品のよさを目指したのかというと、ラストに出てくる人物の描き方がまったくそうなっていない(ネタばれするのでみなはいいませんが)ので意図が読み切れないのです。


ふたつの芝居が短いながら、割と魅せるものだけによけいに二つを一緒にした理由がほしくなります。役者の妙もあるのでしょうが、喜劇の方はとにかくアドリブ的な動きも含め無駄がない。計算されつくしている(20年もやっているのだから当然と言えば当然?)。悲劇の方は、先ほどまで劇外劇で涙もへったくれもないセリフをしゃべっていた役者が急に芝居に入っても結構泣かせる。でもどうせなら、どちらかをたっぷりの時間で見たかったと思うわけです。


ただ、脚本を読んだあとにもう一度作品を見ると、かすかに作品中繰り返されているキーワード的な言葉もあり、もしかしたら繰り返し見ることで、自分の中で深まっていく作品なのかもしれません。


ということで、最終的な評価はやはり劇場で見てからにしておくべし、ですね。

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