北京の器【ブログ】

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教育宣伝?

大学では、北京語言大学のテキストを使って勉強しているのですが、その内容がたまにとても時代錯誤。
出版は1997年なんで12年前なんですが、時代錯誤感は30年くらいの隔たりがある感じ。


この間勉強した単元は、ソ連の宇宙飛行士ウラディミール・コマロフが1967年、単独でソユーズ1号に乗って、地球へ帰還する際にパラシュートが開かず亡くなった…という話だったのですが、それがとっても強烈な英雄譚。


簡単に紹介すると、ソユーズのコントロールが効かなくなって残り地表に激突するまで2時間という時、地上とロケットが回線で繋がれており、さらにそれが全国に生中継されていたという内容。

その際、まずコマロフは、生真面目にも70分を業務の報告にあて(それは国家機密であったので放送は音声を入れずに行われたとされている)、その後残りの時間で、まず大統領から「敬愛なるウラディミール・コマロフ同志、私は国家を代表して君に告げる―君は国の英雄だ。人民の息子だ!人民は永遠にあなたを懐かしみ、広い宇宙は永遠に君を記憶するだろう。君は人民の誇りである!」などと偉業をたたえるほめ言葉をもらい、残りの時間を年老いた母と、妻と、10歳の娘との会話に宛てます。

娘は健気にも「私は英雄の娘だから泣かない。大人になったら私も宇宙飛行士になるわ」などと言ったりしてお涙ちょうだい。

さらに、なんとコマロフの愛人の夫という人がなぜかオペレーティングルームに飛び込んできて、「今迄あなたを殺してやろうと思っていたけど、今になってなぜ妻があなたを愛したのかが分かった!あなたは最も崇高な最も偉大な男の中の男である!」などとわけのわからないことを叫ぶというすさまじい展開。

そしてコマロフは「人民万歳、科学万歳!」などといいながら、神と人民の愛に包まれて死んでいくという―。


すごいでしょ?



出典は「科技汇报」という雑誌。

そして、何が本当にすごいかというと、

この話、全部作り話だってこと。



書き方はまるでノンフィクションなんですよ。
ソユーズも実際に飛んでるし、そこに乗っていたコマロフがロケット事故で地表に激突して亡くなったのも事実。

が、良く考えたら1967年に宇宙飛行を全国に生中継なんてできないし、愛人、勝手にオペレーションルームに入ってこれないよね?


先生いわく、これを教育宣伝と言うのだそうだ。

70年代、中国では教育宣伝のためには、事実をかなり脚色して、人民(特に子供たち)に教訓を学ばせようということが当たり前に行われていたそうで、先生いわく、「新聞記事でないからよいのです。これは一つの故事なのだから」とのこと。

でも、「科技汇报」だよ?
1997年の出版だよ?

しかも外国人(ロシア人もいるかもしれない)向けの教科書に、こういう教育宣伝を載せて、何を教育しようというのでしょうか?

特に愛人のくだり。
そこから何の教訓を読み取れと?
英雄色を好むってか?
よくわからん。


ちなみに、文章をよく読むと、つじつまが合わないことが書かれている場合は、教育宣伝のための脚色(大幅に)がされていると見て間違いないとのこと。



私、事実をベースにした映画とかドラマとかで、事実から飛躍しまくることにも抵抗があるくらいなのに。
(大河ドラマ「篤姫」も後半あまりに政治に篤姫が介入しているので、見る気がしなくなったくらい)


事実がまったくわからない部分をこうあってもおかしくないのではないか?と提示することは創作の範囲としてOKだと思う。

でも、事実が分かっているのに、まったく別の話にしてしまうのは…、すごく違和感なんですが、みなさんどうですか?



ちなみに、本当のコマロフの事故はもっと悲惨だったようで、最初から欠陥だらけのロケットに否応なくのせられ、家族にもロケットに乗ると告げずに出発して亡くなったそうです。

このころは、米ソ冷戦で、宇宙技術をめぐっても両者が激しい競争を繰り広げていましたから、その犠牲者といえるかもしれません。

つまり、決して人民の英雄なんかではないということです。



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